珈琲とスナップと

スナップ写真を極めたい男のブログ。愛機や写真について、好き放題語ります。

Leica Q2, The Beauty of Simplicity

 

2015年の12月31日に富士のX-Pro1を購入し、写真が趣味になった。そして、このブログを始めたのが2017年の12月。その年の9月にX-E3を購入したのがきっかけだった。

 

それから、様々なレンズ、カメラを使い倒した。いや、僕の場合結論を出すのが早いので、使い倒したと言うよりは、とっかえひっかえしたというのが正しいかもしれない^^; XF18mmF2やXF27mmF2.8など、富士の小さい単焦点は大体使ったし、広角ズームのXF10-24mmF4や望遠の55-200mmなんかも、一度は購入しその表現力に感嘆しつつ、日常使い出来ないと思えばどんどん手放していった。

 

途中血迷って?Konica Big miniのようなフルオートのコンパクトフィルムカメラに走ったりしながらも、2019年の夏にはついにLeica M4を購入。最近では、露出計なしのストリートスナップが最も楽しめる写真との向き合い方になっていた。

 

思えばこの時ライカを購入したのが一つの転換期だったかもしれない。富士のカメラは、そのいで立ち、ライカオマージュと言えるスナップ向きの軽快さを好んで使っていたけど、その本流を所有したところで僕の中での富士の役割は終わったのだと思う。これまで散々単焦点スナップ遊びをしてきたけど、ここいらでいい加減写真そのものと本気で向き合いたいなと思うようになった。とは言え、フィルムに全振りするにはフィルムの「現状価格での」供給は怪しく、あまりにもコスパが悪い。そう考えた時に、フイルムシミュレーションという、ある意味固定されつつも、バリエーションが増え複雑化したフォーマットではなく、よりシンプルかつ高精度、それでいて無駄をそぎ落とした機能を持ったデジタルカメラがほしいなと思った。

 

そこで選んだのがLeica Q2だった。その理由は、簡単に言うと「レンズ固定式でありながら何でも撮れる」から。前述した通り色んなレンズを試してきたけど、結局のところ僕はいつもレンズを一つだけ付けて出かけることしかなかった。特に気に入っていたのが、E3にXF27mmF2.8、もしくはXC-15-45mmF3.5-5.6というセット。ただこれには弱点があって「何でも撮れるわけではない」ということだった。前者は寄れないし、後者は暗い。ただ僕の中で一番好きな画角が35mm換算で40mm付近であること、75mm以上は必要ないこと、その中で「撮れないものはない」という状態を作りたい。そう考えた時に、この条件を満たしていたのはQ2だけだった。もちろん、レンズ交換式ならばSonyCanonのボディに標準域の大三元を一本付ければよりハイスペックなマシンを手に入れられたと思うけど、ある意味付けられないレンズのないフルサイズミラーレスはまた僕をレンズ沼へと誘うし、そうなると煩わしさはこれまでと変わらない。このレンズが良いんじゃないか?あれじゃないか?と迷い続けることが写真よりも機材収集ばかりに目を向けさせ、写真に集中出来ない。だったらもうレンズ固定式で、最初から最高の描写を手に入れてしまえばいいと思った。

 

ここで大きなポイントは、M型を選ばなかったことだと個人的には思っている。僕がM4を使う理由は「ライカでフィルムが使いたいから」であって、ここでデジタルもMを選んでしまえば、これもまたレンズ沼にハマるだけで、また趣味性に偏ってしまう。そういうことにならないカメラが必要だった。

 

じゃあ、富士のX100Vで良いんじゃないか?という声も聞こえてきそうだけど、今の僕の中であのハイブリッドビューファインダー、そしてやはりフィルムシミュレーションは不要だった。ただただ撮ることに集中したいと思った時に、一つで4つの画角を備えたレンズ、加えてマクロまで撮れる、でありながら色表現の選択肢はスタンダード、ビビッド、ナチュラル、モノクロしかないシンプルなQ2。これがあれば全て事足りるし撮ることに集中できる、そう確信した。

  

繰り返しになるけど、この決断は、今後機種のスペックに振り回されることなく写真そのものに集中したいという気持ちから来たもの。加えて言うと、僕がある意味今後のデジタルカメラの発展にある意味諦めにも似た気持ちを感じたからかもしれない。結局どんなカメラやレンズを買っても、そうそう使えないスペックの商品はないし、それぞれ大きな差、個性もなくなってきている。そうなってくると結局写真は「何を使うか」ではなく「何を撮るか」がその本質であって、これ以上大して差のないモノに振り回され続けてその機会を失うのは違うのではないか?と思ったのだ。もちろんカメラの世界にはその楽しさがあって、それを散々やってきた自分がそれを否定することはないし、ずっとその楽しみ方をしていくことも一つの道だけど、僕の場合は今このタイミングでそれを止めたかった。一番シンプルでありながらハイスペックなQ2で10年やってみよう、写真と向き合ってみよう、と思った。

 

そんなわけで、今僕の手元に残ったのは、Leica Q2、M4、それからGR3、おまけでOlympusのXA。M4に関しては、Summiluxの50mm、Summicron 35mm、Super Angulonの21mmがあるけど、35mm以外は手放しても良いかなと思っている(Summiluxは2月に買ったばかりだけど・・・汗)。そうなると、機材に関する一切の迷いがなくなると思う。

 

さて、そんなわけでQ2の撮って出しを数枚あげたいと思う。4700万画素が生み出す、あまりにも高精細な描写に最初は戸惑ったけど、慣れるとこれまたあまりにも気持ちよくて現状他のカメラの出番が劇的に減っている。絞り優先にしてしまえば、露出補正、それからAFかMFか、画角、以外に弄る項目がなくひたすら撮ることに集中できる。そして、ひたすら良い写真が撮れる・・・Leicaだからどうとかではなく、シンプルにスゴイカメラだなと思う。

 

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イカらしい描写、とかよくわからないことを言うつもりはない。ただ一つ言えるとすれば「余計なことをしない」のがライカの美学なんだな、そして狙い通りだったなと改めて感じている。何でこんな色になっちゃうの?とか、何でこんなにシャドウがつぶれちゃうの?とか、一枚一枚設定を確認しなおさなければいけないということが全くない。ただひたすら撮る撮る撮る。それが出来るカメラ。プレビューも表示しない設定にして、フィルムのようにひたすら撮りまくる。詳細は帰ってから確認。それでいいし、これがしたかったのだ。

 

このカメラで、スクロールされて忘れ去られる写真ではなく、いつまでも記憶に残る写真が撮れたらいいなあと思っている。