原点に還る 2020年
X-Pro3が頭から離れない年末を過ごした。実際に店頭にも何度も足を運んだし、懇意にしてもらっている店員さんとも絡んで「このお値段なら・・・」といった具体的な提示もしてもらった。でも、(少なくとも現時点では)買わなかった。
まず、Pro3が欲しいと思った動機だが、Pro2と違ってこの機種はPro1の正統後継者であるという感覚があった。Pro2は確かに最高にブラッシュアップされた良いカメラだったが、あまりに洗練されすぎて僕の好きなPro1の「一枚一枚大事に撮る」という感覚からは少しかけ離れてしまったように思えた。また、Pro2が搭載しているX Trans CMOS IIIからは、Pro1の初代X Trans CMOSにあったフィルムライクな風合いを感じられなかった。一方Pro3は、Pro1の頃から富士の構想にあったと言われるhidden LCDを搭載。写りに関しても、初代の独特な雰囲気が戻ってきたと感じさせられたし、マットな質感も僕好みだった。僕はPro1で写真の世界にどっぷり浸かり始めた人間なので、そんなPro3を買うことは僕の使命のようにも思えた。
しかし・・・写真に本格的にハマりはじめて約四年。僕は何ら本格的なアウトプットをしていない。せいぜいインスタが続いているくらいで、撮った写真を本格的に作品に仕上げてコンテストに出したり、写真集を作ってみたり、といった「作品に向き合って表に出す」ということをそろそろしなければいけない。してみたい。そう考えた時に、今一番必要なのがいわゆる趣味嗜好の極致である「新しいカメラを買う」ということなのかどうか。大きな疑問を抱いた。それよりは、アウトプットする為の準備。例えばプリンター、フィルムスキャナー、自家現像用具、など、外堀を固める為の資金を残しておくのが賢明ではないか。また、あえてPro1やM型ライカなどで作品作りをしていった方が、今のカメラでは出ない風合いで差別化を図れるのではないか。そう思った。今の僕は写真家でもなければ、有名ブロガーでもないので、新機材を買ってレビューする、といった作業は別に義務ではないし、そこに新しいカメラを買う免罪符があるわけでもない。限られたお金と機材で、本当に撮りたいものを撮っていくことにより力を入れる。今年はそんな一年にしたいと思う。
そんな気持ちで、久しぶりに三が日からPro1でJPEG撮って出しをしてみたけど、モッサリした起動も含めて、まあ楽しいこと。写りもやっぱり絶妙にフィルムとデジタルの間と言うか、ギリギリ現代のデジカメの使用に耐えうる中で、フィルムっぽくもあり、それでいてあくまでもデジタルの利便性を享受出来る、という、これがあれば最新のデジカメは要らないし、逆に下手するとフィルムも要らない。そんな風に思わせてくれるカメラだな、という思いを新たにした。まだまだ使い倒していきたいカメラである。
そんなわけで、今年はブログの更新は少し控えめにするかもしれない。カメラやレンズのレビューよりは、より自分のパーソナルな写真活動に焦点を当てる一年にしていきたいと思う。