Leica Q2 使いこなし術 Vol'1
今年の3月に一大決心をして購入したライカのQ2。長らく自分が一番気持ちの良いと思える使い方に到達せず軽いストレスを抱えてきたのだが、ここに来てやっとそこに到達出来た感がある。ただ、到達と言っても大したことではない。通常クロップを割り当てるボタンにAEロックを割り当てただけのことだ。
Q2は28mmから、35、50、75mmとワンボタンでクロップできるのが一つの売りとなっているわけだが、GRのようなクロップとは違い、画角ごとにM型ライカで言うところのブライトフレームが狭くなっていく方式。要はクロップしてもファインダー内では被写体は近づいてこない。それはそれでライカらしくて気に入っているのだが、RAWデータは結局28mmで撮られていることを考えると、これを被写体に応じて変える意義は何なんだろうと常々モヤモヤを感じていた。ところが、例えば35mmなら35mmで画角を固定した上で、クロップボタンへの割り当てをクロップからAEロックへ変更。メニューをdigらないと画角を変えられないようにした上で、この時点でUser Profileとして設定登録。こうすると話は変わってくる。こうすることで、僕のQ2はいつでもクロップ出来る万能カメラから、ズミルックス35mmをつけたM型ライカに変貌するのだ。これは一見不便になったようにも思えるが、この、一度自分の目を35mmなら35mm、50mmなら50mmに固定するのがいかに大切でまた楽しいことか、単焦点でスナップを楽しんでいる人ならわかるだろう。迷いが消えてスナップがとても捗る。
以上だ 笑
もちろん、Q2のクロップ機能は他のカメラにはない唯一無二のギフトだしメリットだ。だけれども、ズームのように一枚一枚画角を変えるのには向いていない。これが、僕の出した結論。もちろん、そうじゃない人もいるだろうし、器用に使いこなす人もいるだろうけど、少なくとも僕の場合一つの画角で数十枚、クロップして数十枚。このような使用方法でないと一枚一枚迷ってしまうし、また見た目では常に28mmであることからその迷いはさらに深くなる。自分が今何ミリで撮っているのか。何をどう撮りたいのか。これは本当に50mmで切り取るべきなのか。どんどん袋小路に迷い込む。ただそれも、「今日はこの画角」と決め打ちすることで解消され、むしろスナップが捗り、Q2がもっと楽しくなる。
この撮り方をしていて気が付いたのだが、例えば35mmで撮ったものをLightroomへ取り込んだ時に、28mmの画角が丸々残っている為、「これは28mmのままで良かったな」と救える写真をいくつも発見出来ること。これが一枚ごとに35mm→75mm→28mmといった撮り方をしていたら、元々何mmで撮りたかったのか自体が曖昧になる為、最終的にどの画角が正解なのか導き出すのも苦労するし、ある意味「何でもアリ」になってしまうだろう。極端な話、75mmで撮ったのに、結果28mmのものを作品として残すようなことをしていたら、もう画角という概念がなくなってしまうし、ただただその場を切り取って最終的に良いところだけ拾うという、それは果たして写真を撮っていると言えるのか?という領域に踏み込んでしまう気がする。それが出来てしまうカメラではあるけども、それは違うだろうというのが僕の考えだ。ただそれも、今日は28mm、今日は35mm、といった形で一つの画角で撮り切った上でのおいしいところ取りはアリだと思える。何故なら、この撮り方だと35mmの画が最終的に75mmになるような極端なことは起こりえない。あるとすれば、ちょこっと入り込んでしまった要らないものを切り取ったり、逆に切れてしまった足を入れてみたり、といった程度。ここはQ2の面目躍如、得意分野として大いに生かすべきメリットだろう。
もちろん、上記はあくまでも僕個人の感覚であり使い方。一枚一枚クロップしても迷いなく撮れる人はそれを大いに活用すべきだと思うので、一つのtipsとしてどなたかの参考になれば幸いだ。
不思議なことに、こうやって見ていくと常々難しいと思っている28mmという画角も「結構撮れてるじゃん」と思えたりする。発想の転換ではないけれど、35mmという制限をかけることで、いつもは広く感じる28mmが実はちょうど良かったりするし、もしかするとこれを繰り返していくことで一枚一枚クロップでも上手く撮れるようになっていくのかもしれない。
なんだか最後は35mmから28mmへの救済がメイントピックになってしまったが、もちろん画角通りに撮れた写真も多数ある 笑 が、街中でのスナップにつき個人特定出来る写真が多くなってしまった為今回はこの辺で。
いずれにせよ、Leica Q2、まだまだ深堀していく価値のある面白いカメラだ。