マニュアル露出のススメ
マニュアルレンズでマニュアルフォーカスをやってる人、またそれを勧める人は世の中に多く存在する。けど、個人的には「マニュアル露出」が写真を撮っていて一番楽しいなと感じる。まあ、だからこそ露出計のないLeica M4のようなカメラを使っているんだけど。ただ、フィルムは楽しさはありつつも、一方で修行のような側面もあり、ちょっと間違えると全く撮れてなかった、ということも無きにしも非ず。僕の場合単体露出計を使うわけでもないので、勘が冴えてない日はそれはもう酷いものだし、コスパの悪いフィルムでそうなるとちょっと痛い。
そこでオススメしたいのが、デジタルでのマニュアル露出。これなら多少外してもRaw現像で救うことが出来るし、露出の勉強にもなるし、何より撮っていて充実する。
やり方は簡単。ISOを100なら100、400なら400に固定しつつプラプラ歩く=>撮りたいものを見つける=>被写体に応じて絞りを変える=>適正露出になるようにシャッタースピードも変える=>ここで初めてカメラの電源ON=>背面液晶に見えている画像(露出)は無視してそのままレリーズ。これだけだ。
因みに、当たり前のことだけど、これをするには電源を入れないと絞りやSSを変えられないカメラで少し難しいので、絞りリングやSSダイヤルが存在するライカや富士のカメラが良い。僕の場合はこれをLeica Q2でもやるし、GRIIIxでもやるけど、今回はQ2の写真を少し紹介したいと思う。
こうして見て思うのは、デジタルの恩恵を受けないと写真ってホント下手になるんだなあということ笑 ただ一方で、すごくフィルムっぽい画、つまり予定不調和的な味も生まれて、こういうのも作風として生かせるかもしれないなというヒントになって面白い。最後の二枚のような写真は絞り優先では絶対に出てこないわけで、カメラに撮らされているのではなく自分で撮ったという感覚があるから、しっかり撮れた時に満足感は高い。また、例えば一枚目のように、露出としては微妙でも、明るくなってしまったことで適正露出ではわからなかったボケ感を感じられることがあり、結構ビックリしたりする。
もう一つ、マニュアル露出をやっていてお得と言うか良いところは、写真を撮ることに対してスローダウン出来ること。「撮れて当たり前」から「失敗ありき」の撮り方になるので、被写体を見つけてレリーズ=>背面液晶で確認というルーティンに縛られなくなる。いや、もちろん確認はするんだけど「撮れてるよね?」という確認ではなく「今のはどうだ?」というゲームのような感覚で写真を楽しめるので、イマイチでもストレスが溜まらない。歩いて光を見ながら考えてること自体が楽しいので、記録に残すことではなくあくまでも撮ることを楽しむことを目的としていられる。これがなかなかデジタルでは出来ないことなのだ。
もちろん、記録としてしっかり残したい時にやることではないし、やろうとする人はいないだろう。ただ、普段絞り優先ばかりで撮っていて「なんかハマらないな」「単調だな」「いつも同じ写真しか撮れないな」と感じたときに、ぜひマニュアル露出、やってみてほしい。もしかしたら、フィルムで撮ってみたいと思うようになるかもしれないし、そうならなくても写真の楽しみ方が一段上がる、もしくは一つ増えると思うよ。