Leica Q2 使いこなし術 Vol'2
Leica Q2の最大の特徴は何か。それはライカでありながらAFで撮れる、ということだと思う。が、このカメラ、使えば使うほどマニュアルフォーカスを駆使した方が楽しいカメラだということが最近分かった。それが今回の使いこなし術、第二弾。
以前の記事でも触れたけど、Q2というカメラは、クロップを何ミリに合わせても背面液晶、またファインダーで見える画は28mmである。それは28mmで撮りたい時はいいけれど、50mm、75mmなどにクロップした時は感覚的に厳しいものがあって、僕はこれらの画角のクロップは滅多に使わない。が、これがMFだと話は変わってくる。MFにすると、ピントリングを回すだけでピント位置が拡大され、一気に被写体が近寄ってくる。要はM型で言うところのビゾフレックスが内蔵されていると考えてもらえばわかりやすいだろう。これでピントを合わせれば、正直もう何ミリで撮っているかはあまり関係なくなるので、そのまま28mmで撮っておけば、体感としては50mmや75mmで撮っているかのような接近感を味わえつつ、4700万画素の28mmの画が切り取れる。あとは、撮った後にRaw現像で好きな部分を切り取ればいい。
ただ、もちろんこれは雑に撮って良いという意味ではない。クロップはしなくても、頭の中で「ここを切り取りたいんだ」というイメージはしっかり持ちつつ撮ることが大事。
例えばこの写真。僕は頭の中で最初からこの辺を切り取るイメージで撮っていたが・・・
実際に撮ったのはコレ。でも上をイメージしているから、家に戻ってからRaw現像でその部分を容易に切り取ることが出来た。
もちろん、Q2の特長であるクロップ機能で最初からブライトフレームを出しておいて切り取っても良いのだけど、MFだとそれはもう必要ないかもしれないなあと最近は思い始めている。それは、僕自身が28mmがすごく好きであるということもあるけど、何よりもMFで拡大して撮った時の「確実にピントを合わせた」と思える安心感、自分の手で撮ったと思える満足感が何より大きい。
そして、今日の使いこなし術二つ目。測光は「スポット測光」にしよう。もちろん、全ての被写体に対してというわけではないんだけど、どうもQ2、もしかしたらライカのカメラ全般、白飛びしがち、そしてシャドウはしっかり粘るという特性を考えると、陰影をつけやすいスポット測光との相性が良い気がする。
どうだろう?少々やりすぎな面も見られるとは思うけど、多分割測光では得ることが難しい印象的でドラマティックな画に仕上げることが出来ていると思う。
上記の、めんどくさい使いこなし術を考えると、う~ん、これはもうM型を買えってことなのか?と思わなくもないけど、今のところデジタルのMは僕の琴線には触れてきていないので助かっている。その辺はまた別の記事で書きたいと思う。
すっごいレンズを手に入れました
って言って、このレンズを紹介する人は少ないんじゃないかな。Nikon ZのDX専用レンズ、18-140mm F3.5-6.3。ネットで検索しても、2022年1月現在、ほとんどヒットしない。
僕はZ50愛用者だけど、所有レンズはDX16-50mmのみ。加えて、どうしてもDX機にFXレンズを付けるのには抵抗があって、これからどうやってZ50の楽しさを展開させていこうかなあと思案していた。
そんな時に登場したのがこのDX18-140mm。35mm換算で27mm-210mmをカバーする、いわゆる高倍率ズーム。別名便利ズーム。ズボラレンズなんて呼ばれたりすることも・・・。何を隠そう、そんな高倍率ズームを僕は写真趣味6年間の中で一度も使ったことがなかったのだけど、このレンズはその計量コンパクトなスペックから発売当初から気になっていた。が、新品はどこを見てもなかなか在庫がなく・・・この度運よく某マッ〇カメラさんに美品が一本入ってきたので急遽ポチっとしたのだった。
僕は元々単焦点で「撮れるものしか撮らない」というスタイルが好きだったんだけど、去年くらいから「せっかく頭の中に画が浮かんでいるのにレンズのせいで撮れないのは勿体ない」と考えるようになってズミルックスF1.7を搭載した4700万画素のカメラ、Leica Q2を購入した。Z50に関しては、そんなQ2にはない、いわゆるオーソドックスなカメラ感を感じたいという理由だけで購入し、お散歩スナップ用途で重宝していたけど、画角的に16-50mmだとQ2とほとんど変わらず「Q2とは別の撮影体験」という意味でしか存在意義を見出せていなかった。けれど、このレンズでそれもガラリと変わりそうな予感がする。
写真は全てJPEG撮って出し。
いや~~~、これが便利ズームか!という感じ。予想していたことではあったけど、思いの外使いやすくて感動してしまった。撮りたいと思った画をそのまま切り取れる上、画質は申し分なし。望遠付近で撮ればボケもほど良くて気持ちが良い。
そして、自画自賛で申し訳ないけど、少しずつだけど写真上手くなってきたんだなと思うし、その確認という意味で実に意義深い買い物だった。つまり、主題を明確にしつつ、余計なものは入れず、印象的な写真が撮れるか?という挑戦。それが出来るのが高倍率ズームの良いところだし、僕にとっては買うタイミングとしてベストだったんじゃないかと思う。
正直なところ、このレンズを買うならもうフルサイズのZ6か7に24-70mmみたいなレンズに行くのもアリなのかもという考えも頭をよぎっていたんだけど、そこはやはり街撮りスナップ派の真骨頂というか、いかに小さいカメラボディとレンズで良い写真を撮るかというのが僕にとっては大事で、Z50にこの18-140mmはスペック的にもサイズ・重量的にも今の僕にガッチリハマるものだった。
スペック的にはすごく地味なレンズだけれど、末長く相棒になってくれそうな気がする。
マニュアル露出のススメ
マニュアルレンズでマニュアルフォーカスをやってる人、またそれを勧める人は世の中に多く存在する。けど、個人的には「マニュアル露出」が写真を撮っていて一番楽しいなと感じる。まあ、だからこそ露出計のないLeica M4のようなカメラを使っているんだけど。ただ、フィルムは楽しさはありつつも、一方で修行のような側面もあり、ちょっと間違えると全く撮れてなかった、ということも無きにしも非ず。僕の場合単体露出計を使うわけでもないので、勘が冴えてない日はそれはもう酷いものだし、コスパの悪いフィルムでそうなるとちょっと痛い。
そこでオススメしたいのが、デジタルでのマニュアル露出。これなら多少外してもRaw現像で救うことが出来るし、露出の勉強にもなるし、何より撮っていて充実する。
やり方は簡単。ISOを100なら100、400なら400に固定しつつプラプラ歩く=>撮りたいものを見つける=>被写体に応じて絞りを変える=>適正露出になるようにシャッタースピードも変える=>ここで初めてカメラの電源ON=>背面液晶に見えている画像(露出)は無視してそのままレリーズ。これだけだ。
因みに、当たり前のことだけど、これをするには電源を入れないと絞りやSSを変えられないカメラで少し難しいので、絞りリングやSSダイヤルが存在するライカや富士のカメラが良い。僕の場合はこれをLeica Q2でもやるし、GRIIIxでもやるけど、今回はQ2の写真を少し紹介したいと思う。
こうして見て思うのは、デジタルの恩恵を受けないと写真ってホント下手になるんだなあということ笑 ただ一方で、すごくフィルムっぽい画、つまり予定不調和的な味も生まれて、こういうのも作風として生かせるかもしれないなというヒントになって面白い。最後の二枚のような写真は絞り優先では絶対に出てこないわけで、カメラに撮らされているのではなく自分で撮ったという感覚があるから、しっかり撮れた時に満足感は高い。また、例えば一枚目のように、露出としては微妙でも、明るくなってしまったことで適正露出ではわからなかったボケ感を感じられることがあり、結構ビックリしたりする。
もう一つ、マニュアル露出をやっていてお得と言うか良いところは、写真を撮ることに対してスローダウン出来ること。「撮れて当たり前」から「失敗ありき」の撮り方になるので、被写体を見つけてレリーズ=>背面液晶で確認というルーティンに縛られなくなる。いや、もちろん確認はするんだけど「撮れてるよね?」という確認ではなく「今のはどうだ?」というゲームのような感覚で写真を楽しめるので、イマイチでもストレスが溜まらない。歩いて光を見ながら考えてること自体が楽しいので、記録に残すことではなくあくまでも撮ることを楽しむことを目的としていられる。これがなかなかデジタルでは出来ないことなのだ。
もちろん、記録としてしっかり残したい時にやることではないし、やろうとする人はいないだろう。ただ、普段絞り優先ばかりで撮っていて「なんかハマらないな」「単調だな」「いつも同じ写真しか撮れないな」と感じたときに、ぜひマニュアル露出、やってみてほしい。もしかしたら、フィルムで撮ってみたいと思うようになるかもしれないし、そうならなくても写真の楽しみ方が一段上がる、もしくは一つ増えると思うよ。
Nikon Z50 はカメラらしいカメラ
今日は、昨年書きそびれたNikon Z50のレビューを少しばかり。
カメラがカメラらしいのは当たり前なんだけど、Nikon Z50はとにかく無駄のない、カメラらしいカメラだ。要は、家電ではない、長年ニコンが蓄積してきた道具としての良さを小さなボディにギュッと詰め込んだ、使っていてとにかくストレスがなくシンプルに良い画が撮れる、そんなカメラ。シャッターフィーリングも、少々もっさり感はあるものの、カシャリとわかりやすい響き。奇をてらってないボディデザインも、飽きづらい。
何でだろうな。他のメーカーのカメラがそうであるように、Z50も様々な遊べる色味(ピクチャーコントロール)を盛り込んでいるし、JPEGでも十分楽しめるカメラなんだけど、何故か何も味付けをせずにニュートラルな色味で撮ってLightroomで味付けしたくなる。そういう意味ではしっかりデジタルのメリットを享受しているわけだけど、操作感なんかはフィルム時代から受け継いだオーソドックスそのもの。よく富士のカメラが一番フィルムに近いような言い方をされるし、一つの側面から見るとそれは正しいんだけど、それはJPEGで完結するもの、とも言い換えられる。もちろんRAW撮りもOKなんだけど、せっかくならフィルムシミュレーション一発撮りで楽しみたくなる。一方でNikon Zにはこれと言った大きな特徴がないので、とにかくパシャパシャと撮って後で自分なりの味付けしたい。そんなイメージ。変な言い方かもしれないけど、富士がフィルム一発撮りのカメラだとしたら、ニコンは撮ったフィルムを後からベストな状態に仕上げているような感覚とでも言おうか。富士のように、撮ってる画は大したことなくても色味だけで「なんかいいなあ」と思わせるような力は、良くも悪くも持っていないカメラ。だからこそ、自分なりの味付けがやりやすいように感じる。
このカメラをフィルムっぽく感じる理由、それは2000万ちょっとしかない画素数も一つのそれだろう。Leica Q2の4700万画素のような、もはや撮った被写体そのものがそこにあるかのような圧倒的存在感、妖艶さ、セクシーさ、のようなものはなく、あくまでも「写真」を感じさせてくれる。モニターで見ていても、映像と言うよりは紙媒体というか、昔から慣れ親しんだ「写真感」がある。5000万画素のカメラを「新時代」と表現した人がいるけど、正にそれで、2000万画素にはそこにはない安心感、親しみがあるのだろう。
だから「普通」と言ってしまえばそれまで。でも、写真の原点に立ち返ろうと思ったらこれ以上のカメラはないんじゃないかな。操作性、最高。見た目はオシャレとかカッコいいじゃないけど、ちゃんと写真を撮ってる人という印象の良さ。今まで見たことないけど、ZfcじゃなくてZ50を首から下げてる女子がいたら絶対声かけたい 笑。チャラそうな男子でもZ50使ってたら「ああ、真面目な良い奴なんだろうなあ」って感じ。わかるかな?笑
全てLightroomで編集済。16-50mmのキットレンズだし、どれも感動するような画ではないけど、なんか良いでしょ?って感じ。家族写真とか、小旅行写真とか、全部これでいいでしょ?って。最近出た18-140mmだったらさらに隙がなくなるだろうけど、あえて標準域だけで持ち歩くのもまた乙なもの。撮れないものは撮らなくていい、そんな風に思えるちょうど良いカメラ。
Zfcも良いけど、これから真面目に写真を撮っていきたいっていう人には個人的にはZ50、断然オススメです。
GRIIIxのみで都内ストリートスナップ
以前何度か僕のGRの使用方法について書いた。それは例えばLeica M4のような露出計非内蔵のフィルムカメラと一緒に持って行くことで、露出の正解が分かる、要は露出計のような存在としてのGR。ついでにもちろんGRでも撮るので、デジタルとフィルムを両方楽しめるという意味でも、GRのコンパクトさ、片手で扱える速射性は他の追随を許さないものとなっていた。
ただ、オリジナルのGRIIIを手放して、焦点距離40mmのGRIIIxを愛機としたことで、最近は少しその使い方に変化が生まれている。
28mmのGRは、以前も書いた通り、また上記にもある通り、いわゆる「保険」としての使用方法がメインになっていた。が、40mmは都内のストリートスナップでは(個人的に)広すぎず狭すぎずの、もはやメイン機として使えるような取り回しの良さがあるので、フィルムカメラを一緒に携えるのは少し邪魔かもしれない、と最近は思っている。要は、40mmは、28mmのように撮ってから後でクロップしようと思うような広い焦点距離ではない、最初から決め打ちで撮る焦点距離なので(くどいようだけど、あくまでも個人的に)、撮ったその瞬間が勝負。その分迷いがなくスパスパ撮れるので、フィルムカメラを同時携行するとその良さがスポイルされてしまうのだ。つまり、28mmのGRが「保険」なら40mmは「居合斬り」のような存在。僕にとっては、正に究極のスナップシューターなのである。
そんなわけで、今日はGRIIIxのみで都内を散歩してみた。
今日は基本的にはずっとISO800でスナップモード、ボケが欲しい時はAF使用。色はPosiか普通のモノクロで撮った。露出補正はずっと-0.3。何故ISO800なのかと言うと、スナップモード時は大体F値はF11に合わせるから、撮る場所によってはISO100や400だと人がブレてしまうことがあるから。これがISO800であれば、被写界深度も深く取れつつ、少し暗くても人物を止められるので、個人的にストリートスナップではよく使う。それによって多少粗さが出てしまうけど、それもまたフィルム写真ぽくてアリだと思っている。また、露出を-0.3することで、シャドウが良い感じで潰れて、それもまたPosiフィルム調によく合う。淡い色合いでありながら、ディティールが潰れる感じが実にフィルムライクだ。
GRはいわゆるサブ機のように持ち歩きがちだけど、他のカメラには目もくれずひたすら40mmで撮り続ける。そんな使い方が個人的には強くオススメ。今日はそんな結論で締めたいと思う。
One Camera, One Lens
タイトルは、とあるYou Tubeチャンネルから拝借したもの。「一つのカメラに一つのレンズがベストだ」という見解に非常に共感したので、同じタイトルで書いてみることにした。僕も、あらゆるカメラボディやレンズを使ってきたが、最終的にこの考えに行き着き、今のラインナップになっている。別の言い方をすると、レンズではなくカメラボディにその使い道について役割を与えることで、複数のカメラを持つことに意味付けをしている、とも言えるかもしれない。
- Leica Q2
- Ricoh GRIIIx
- Nikon Z50 / DX16-50mm F3.5-6.3 VR
- Nikon FM3A / AI Nikkor 45mm F2.8P
- Leica M4 / Summicron 35mm 6th Elements
上記が今の僕の今の所有機材だが、例えば、僕の中でLeicaのM4は「35mmという基本の焦点距離で、露出計に頼らずにスナップしたい時」のカメラと決まっている。が、ここに50mmのズミクロンも持っていたり、はたまた別にLeica M3も持っていたりすると、M4でもM3でもそれぞれの焦点距離が使えるようになり、かつ両方露出計非内蔵カメラということで、役割が被ってくる。しかし、そこは露出計内蔵であり、かつ絞り優先が使えるFM3Aに45mmのレンズを別に持つことで、M4とどちらを持って行こうか?という迷いは生まれない。画角も違えば、カメラのコンセプトも違うからだ。
もう一つ例を挙げると、僕にとってLeica Q2はどんな画角も切り取れる、日常のAll in Camera。が、いわゆるレンジファインダー式のデジタルズーム(クロップ)を採用している為、またそのスマートなシャッターフィーリングから、「写真を撮っている」という感覚が薄れてしまうことがある。そんな時はNikon Z50を持ち出す。DX16-50はQ2とほぼ同じ、換算24mmから75mmをカバーしているが、こちらはシンプルなズームレンズだし、シャッターフィーリングや操作系も実にカメラカメラしたカメラ。防塵防滴でスタイリッシュなQ2とは一線を画した、お散歩カメラとして実に心地よい。
最後にGRについては言わずもがな。ポケットインサイズのAPS-C機であり、ノーファインダーのコンデジは他のどんなカメラとも被らない。写真を撮る予定がない日でも常に持ち歩けるというだけでその価値がある。
多くの人は、レンズ交換式カメラを買うと、基本レンズを増やしていくと思うし僕もそうだった。が、それをやるとレンズは際限なく増え、またその中でヘビロテレンズとほぼ使わないレンズが出てくる。また、違うボディで同じ焦点距離のレンズも増えるので整理がつかなくなる。収集を楽しめる人はそれで良いのだろうし、それがカメラ趣味の楽しいポイントになるのだろうが、僕の場合は用途に迷いを生みたくないのと、使わないものを持っておきたくないという元来の性格から今のスタイルになった。それぞれのカメラボディの用途が全く違うので、選ぶ楽しみもありながら迷わなくて済むという点で、このやり方がとても気に入っている。
ただ、正直なところ、レンズ収集を楽しむ用のカメラも一つ持っておいても良いかなと、今新たに物色もしている笑 富士かパナ辺りの中古ボディを一つ買って、小さい単焦点をちょこちょこ増やしていくのも楽しそう。これは、実用とは別の範疇として現在検討中である。
Leica Q2 使いこなし術 Vol'1
今年の3月に一大決心をして購入したライカのQ2。長らく自分が一番気持ちの良いと思える使い方に到達せず軽いストレスを抱えてきたのだが、ここに来てやっとそこに到達出来た感がある。ただ、到達と言っても大したことではない。通常クロップを割り当てるボタンにAEロックを割り当てただけのことだ。
Q2は28mmから、35、50、75mmとワンボタンでクロップできるのが一つの売りとなっているわけだが、GRのようなクロップとは違い、画角ごとにM型ライカで言うところのブライトフレームが狭くなっていく方式。要はクロップしてもファインダー内では被写体は近づいてこない。それはそれでライカらしくて気に入っているのだが、RAWデータは結局28mmで撮られていることを考えると、これを被写体に応じて変える意義は何なんだろうと常々モヤモヤを感じていた。ところが、例えば35mmなら35mmで画角を固定した上で、クロップボタンへの割り当てをクロップからAEロックへ変更。メニューをdigらないと画角を変えられないようにした上で、この時点でUser Profileとして設定登録。こうすると話は変わってくる。こうすることで、僕のQ2はいつでもクロップ出来る万能カメラから、ズミルックス35mmをつけたM型ライカに変貌するのだ。これは一見不便になったようにも思えるが、この、一度自分の目を35mmなら35mm、50mmなら50mmに固定するのがいかに大切でまた楽しいことか、単焦点でスナップを楽しんでいる人ならわかるだろう。迷いが消えてスナップがとても捗る。
以上だ 笑
もちろん、Q2のクロップ機能は他のカメラにはない唯一無二のギフトだしメリットだ。だけれども、ズームのように一枚一枚画角を変えるのには向いていない。これが、僕の出した結論。もちろん、そうじゃない人もいるだろうし、器用に使いこなす人もいるだろうけど、少なくとも僕の場合一つの画角で数十枚、クロップして数十枚。このような使用方法でないと一枚一枚迷ってしまうし、また見た目では常に28mmであることからその迷いはさらに深くなる。自分が今何ミリで撮っているのか。何をどう撮りたいのか。これは本当に50mmで切り取るべきなのか。どんどん袋小路に迷い込む。ただそれも、「今日はこの画角」と決め打ちすることで解消され、むしろスナップが捗り、Q2がもっと楽しくなる。
この撮り方をしていて気が付いたのだが、例えば35mmで撮ったものをLightroomへ取り込んだ時に、28mmの画角が丸々残っている為、「これは28mmのままで良かったな」と救える写真をいくつも発見出来ること。これが一枚ごとに35mm→75mm→28mmといった撮り方をしていたら、元々何mmで撮りたかったのか自体が曖昧になる為、最終的にどの画角が正解なのか導き出すのも苦労するし、ある意味「何でもアリ」になってしまうだろう。極端な話、75mmで撮ったのに、結果28mmのものを作品として残すようなことをしていたら、もう画角という概念がなくなってしまうし、ただただその場を切り取って最終的に良いところだけ拾うという、それは果たして写真を撮っていると言えるのか?という領域に踏み込んでしまう気がする。それが出来てしまうカメラではあるけども、それは違うだろうというのが僕の考えだ。ただそれも、今日は28mm、今日は35mm、といった形で一つの画角で撮り切った上でのおいしいところ取りはアリだと思える。何故なら、この撮り方だと35mmの画が最終的に75mmになるような極端なことは起こりえない。あるとすれば、ちょこっと入り込んでしまった要らないものを切り取ったり、逆に切れてしまった足を入れてみたり、といった程度。ここはQ2の面目躍如、得意分野として大いに生かすべきメリットだろう。
もちろん、上記はあくまでも僕個人の感覚であり使い方。一枚一枚クロップしても迷いなく撮れる人はそれを大いに活用すべきだと思うので、一つのtipsとしてどなたかの参考になれば幸いだ。
不思議なことに、こうやって見ていくと常々難しいと思っている28mmという画角も「結構撮れてるじゃん」と思えたりする。発想の転換ではないけれど、35mmという制限をかけることで、いつもは広く感じる28mmが実はちょうど良かったりするし、もしかするとこれを繰り返していくことで一枚一枚クロップでも上手く撮れるようになっていくのかもしれない。
なんだか最後は35mmから28mmへの救済がメイントピックになってしまったが、もちろん画角通りに撮れた写真も多数ある 笑 が、街中でのスナップにつき個人特定出来る写真が多くなってしまった為今回はこの辺で。
いずれにせよ、Leica Q2、まだまだ深堀していく価値のある面白いカメラだ。